傍観者効果の怖い実話
傍観者効果とは、ある事件を目の当たりにした時、自分以外の傍観者が他にも複数名いる場合は、率先して助けようと行動しない集団心理を指します。
次の思考により傍観者効果が働きます。
- 他者が積極的に行動しないため、緊急じゃないと思考する
- 傍観側に徹底し、責任や非難を分散しようと思考する
- 率先した行動が、傍観者の非難評価に繋がると思考し恐れる
今回は、傍観者効果が提唱されるきっかけとなった怖い実話を紹介します。
何よりも怖いのは人間です。
傍観者が多ければ多いほどに傍観者効果は発揮されてしまいます。それでは、傍観者効果の内容に入っていきましょう。
【閲覧注意】
傍観者効果の怖い実話
傍観者効果の提唱のきっかけとなった、キティ・ジェノヴィーズ事件と呼ばれる実際に起きた事件の怖い話を紹介します。
集団心理の傍観者効果は、蓋を開けれて見れば、実は怖い事実が隠されていました。以下で詳しい事件の内容を紹介します。
念を押してもう一度、「閲覧注意」です。
1964年3月13日、米国ニューヨーク州クイーンズ郡キュー・ガーデン地区で発生した怖い事件です。この地区に住むキティ・ジェノヴィーズ(kitty)という女性がいました。ジェノヴィーズは、自分が住んでいるキュー・ガーデン地区から離れたホリスと呼ばれる地区にてバーのマネージャーとして仕事をしていました。
事件当日、1964年3月13日の深夜。彼女はいつものようにバーで働き、無事仕事を終え、自宅へと車を走らせます。その後、自宅付近にある駐車場に車を停め、そこから歩いて自宅へと向かっていきます。
帰路の途中にあるキュー・ガーデン駅付近を歩いていると彼女は突然襲われました。背中を知らない男に刺されたのです。男の名は、ウィストン・モーズリー。彼は、ジェノヴィーズの背後に忍びこみ、彼女の背中めがけて刃物を突き刺しました。
彼女はあまりの痛みに悲鳴を上げながら、その場から逃げるように自宅へと足早に歩き出します。彼女の悲鳴を聞きつけた付近の住民の1人は、部屋の明かりを点けて窓越しにモーズリーにジェノヴィーズを離すように怒鳴ります。
するとモーズリーは住民を見上げて肩をすくめ、ジェノヴィーズから離れて自分の車まで歩いて行きました。しかし、モーズリーは怒鳴った住人の窓の明かりが消えることを確認すると、再び体の向きを変えて、部屋に帰ろうとするジェノヴィーズめがけてナイフを刺しました。
彼女が再び叫び声を上げると、同アパートの部屋の明かりが点灯しました。モーズリーはそれに気づいて、自分の車へと乗って立ち去りました。
しかし、その後、モーズリーはジェノヴィーズのもとへ再び戻り、彼女の首などを刃物で刺し致命傷を負わせました。その間誰も警察に連絡をせず、キティ・ジェノヴィーズは絶命します。彼女の命が途絶えて直ぐ、同アパートに住む男性が警察に通報をしましたが時既に遅しです。
事件から6日経過後、モーズリーは逮捕されます。裁判の結果、一審では死刑を宣言されましたが、二審では終身刑となりました。
この事件の怖いところは、深夜に自宅アパート前でキティ・ジェノヴィーズ(1935‐1964年)がモーズリーに暴漢され、悲鳴を上げたにも関わらず、誰も直接助けなかったことです。付近の住民38人が事件に巻き込まれている様子を目撃していたようですが、誰1人として暴漢されている間、警察に連絡もせず助けようともしなかったのです。(但し、深夜で辺りが暗かったため「キティが襲われている現場」を直接目撃していない住民も含まれます。)
最終的に加害者のモーズリーは、三回に渡りキティ・ジェノヴィーズを刃物で傷つけて強姦をしました。その間、結局誰も率先して直接助けには来ずに悲惨な事件となってしまいました。
当時のニューヨーク・タイムズ紙で、
「彼女は大声で助けを求めたが、付近の住人は誰ひとり警察に通報しなかった」と大きく報じ目撃者をバッシングしました。
また、この事件がきっかけで傍観者効果が提唱されました。そして、社会心理学を学ぶ際に必ず触れる有名なエピソードとなったのです。殆ど一般的には知られていませんが、心理学の傍観者効果が提唱された背景には、このような悲惨で怖い実話が隠されていたのです。
実は怖ろしいことに、犯人のモーズリーはこの事件の逮捕前に多数の強姦と二件の強姦〇人を犯していました。本当に怖ろしい実話です。
そして更に怖いことに、彼は裁判で胸中を問われた際に次のように証言していました。
「あいつ(目撃者)はすぐ窓を締めて寝るだろうと思ったが、その通りだった」
経験則として、傍観者心理効果を誰よりも理解していたのです。
1968年、心理学者ラタネとダーリーは、この事件に関して「多くの人が気づいたからこそ、誰も行動をおこさなかった」と仮説を立てて実験をしました。
実験の結果、彼らは次のようなことに気づきました。
「都会人の心が冷淡だから」誰も助けなかったのではなくて、「多くの人が傍観していたため」誰も助けなかったことが判明した。
傍観者効果は人間の心理上、どうしても働く傾向が強いということが理解できたかと思います。
つまるところ、
傍観者効果が働いてしまって助けなかった人間を非難するのではなく、傍観者効果が発動して被害者がでない社会システムを作ることが必要です。
傍観者効果の怖い実話:まとめ
傍観者効果の怖い実話
- 実際に米国で起きたキティ・ジェノヴィーズ事件が傍観者効果の背景にある。
- 傍観者効果は人間の心理上、強く働いてしまう傾向がある。そのため社会のシステムを変えるべきである。
傍観者効果が働いてしまう思考
- 他者が積極的に行動しないため、緊急じゃないと思考する
- 傍観側に徹底し、責任や非難を分散しようと思考する
- 率先した行動が、傍観者の非難評価に繋がると思考し恐れる
以上でまとめとなります。
《まとめの感想》
社会心理学の傍観者効果の提唱された背景には、悲惨で怖い実話があったことを忘れてはいけないです。
少しでも「傍観者効果」の怖さを知る参考になれればと思います。
それでは、最後までご覧くださりありがとうございました。
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