山形県には、怖い風習があります。絵馬に婚礼衣装を着た死者が結婚式をあげている様子を描いた「ムサカリ絵馬」や、貧困が故に生まれてしまった「姥捨て」、修行僧が自らの命を犠牲にした「即身仏」の風習があります。お寺や神社に生息する伝説の生物「ケセランパセラン」や「人面魚」の話も有名です。しかし、これらの風習や伝説の生物についての話を詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。そんな謎に満ちた山形県にある風習やお寺や神社に生息する伝説の生物についてご紹介していきたいと思います。
山形県に行きたくなる話があなたを待っているでしょう。
一緒に読んでいこうにゃ!
山形県の怖い風習って何?
東北地方には、「冥婚」と呼ばれる風習が各地でみられていますが、その起源は中国や東南アジアになります。結婚をする前に、はやくに亡くなってしまった人を思って、人形を用いて架空の結婚式をあげる風習です。日本の山形県山形市や天童市でも、「ムサカリ絵馬」と呼ばれる冥婚に似た風習が存在しています。絵馬に、婚礼衣装を着た死者が結婚式をあげた様子を描いて神社に奉納するというものです。早くに亡くなってしまった我が子が寂しくないようにと、絵に誰かを描いてあげるという親族の優しさがこもった優しい風習です。ここまでの話だけを聞くと、怖い要素がないように感じますが、ムサカリ絵馬には次のようなタブーがあるようです。
「ムサカリ絵馬に描く配偶者は、必ず架空の人物でなければならない。間違っても実在する人物を描いてはいけない。なぜなら、その人があの世に連れていかれてしまうから」
噂によれば、上記のタブーが「怖い風習」とされる理由のようです。因みにお隣の国、中国の冥婚はもっと怖いです。亡くなったわが子の写真が入った赤い封筒を人通りの多い道中にそっと置き、それを拾った者は無理矢理「冥婚」させられる風習です。中国の奥地では、わざわざ誘拐されて命を奪われた後、配偶者にされるという怖い風習もあります。現在の中国でも繰り返されている悲劇なので、とても恐ろしい話です。中国に訪れた際に、赤い封筒が道に落ちていたとしても、決して拾わないようにしましょう。
赤い封筒(※イメージ)
山形県天童市には、もう一つ県民によく知られている怖い風習があります。かつて、「六十二歳になった年寄りは、山さ捨てるべし」という掟、「姥捨て」の風習がありました。現在、姥捨てが行われた「ジャガラモガラ」とよばれる山は、怪奇現象が数多くみられる心霊スポットになっています。とはいえ問題のスポットに実際に行ってみると、自然にできた山の窪地にたくさんの穴がある程度でまったく怖さを感じないようです。季節に関係なく、同じ温度の風が吹き、夏は特に気持ちいいと言われています。穴と窪地の温度差で霧も発生するほどで、夜に見る空はとても幻想的な雰囲気らしいです。そう、まるでずっとここに居たくなるくらい居心地が良いのです。「こんな美しい場所なら、ここで終わってもいい」と思ってしまう姥捨て山「ジャガラモガラ」は、残念ながら自殺の名所として有名なんです。怖くて悲しい風習があった、姥捨て山に引き込まれないようにお気を確かに持ってくださいね。
羽黒山神社本宮の2446石段 | 月山神社 |
さて、続いては山形県鶴岡市にあった怖い風習をご紹介していきたいと思います。鶴岡市にある羽黒山、月山、湯殿山と呼ばれる山はご存じでしょうか。総称して出羽三山と呼ばれる日本有数のパワースポットで、年間を通して多くの参拝者が遠路はるばる訪れる場所です。出羽三山は、自分の意志で生きたまま地中深くに潜って、自らミイラとなったお坊さん「即身仏」があることで有名な地です。即身仏になるまでの道のりは信じられないほど過酷で、次のような試練があるようです。
まず、出羽三山の奥の院、湯殿山の仙人沢にこもって、千日間の間、米、麦、あわ、きび、豆の五穀を断つ。その後、日に三回、二キロ上流にある湯殿山のご神体まで参詣する。多くの者は、この時点ですでに体のミイラ化が始まる。それから更に千日間、「十穀断ち」を行う。こうなると、口にできる食べ物は山にある木の実、皮、根しかない。人によっては二千日~三千日続けて骨と皮だけになるのを待つ者もいる。開始して約五年から七年経った後、石で作られた棺おけに入り、生きたまま石の棺おけごと土の中に埋められる。棺おけの中は真っ暗で、地上から酸素を送り込む一本の竹筒のみとなる。殆どミイラ化した僧侶は、飲まず食わずでお経を読み、鐘を鳴らす。地上にいる僧侶たちは、竹筒から鐘の音が聞こえなくなった後、一定の期間を置き、石の棺おけを掘り起こして、ようやく「即身仏」として迎える。
女人禁制の山にある即身仏
以上の恐ろしく過酷な試練を耐え抜いた者だけが、即身仏になれるのです。とはいえ、全員が即身仏になれるわけではなかったようです。修行の途中で病やケガで命を落とした者、石の棺おけに入る「入定」まで辿り着けても、体中がウジで痒くなってかきむしってなれなかった者、真っ暗な棺おけの中で恐怖を克服することが出来なかったお坊さんも少なくなかったとのことです。棺おけを開けると、内側に爪でひっかいた引っ搔き傷もあり、飲まず食わずで声がかすれて助けを呼べず、朽ち果てた者もいたのです。そのため、湯殿山に人知れず眠る修行僧は、相当いると言われています。怖い風習があったためか、現在、湯殿山は三山の中でもとりわけ厳しい掟があるそうです。
湯殿山神社本宮手水舎
- 湯殿山神社本宮を参拝するには、お祓いをして裸足になること。
- 道中で見聞きしたことは決して口にしないこと。
- 撮影は一切禁止。
日本有数のパワースポットである一方で、「即身仏」になれなかった無念の僧侶の魂が彷徨っている、怖い怪奇現象が起こり続けると噂される場所でもあります。現在、十八体の即身仏が日本にあるようですが、うち六体は山形県に存在しているようです。
お寺や神社にいる伝説の生物!
山形県静岡市に「善寳寺」という龍王と龍女を神様として祀っている寺があります。昔から、漁師にとってご利益のあるとされる由緒あるところです。実は善寳寺は、1990年代頃、お寺の池に泳ぐ「人面魚」がいることで有名でした。寺の池を泳ぐ三匹の魚の頭に、人の顔としか思えない模様がある不思議なコイがいたのです。テレビや雑誌で話題となった当時、遠路はるばる訪れる客で溢れかえり、日に一万人を超えるときもあったそうです。30年以上たった現在では、「龍の化身」として大切に祀っているそうです。
有形登録文化財善寳寺龍王殿
ところで、「八百比丘尼」という尼さんの伝説があります。誤って人魚の肉を食べてしまい、姿が十六歳のまま、約八百年間生きたという伝説です。昔から、人魚には不老不死になると言われる伝説があります。「人魚は人面魚にあたるから不老不死だ」という人々の考えがあったからこそブームになったのかもしれませんね。
さて、山形県北村山郡にも話題となった伝説の生物「ケセランパセラン」がいます。見た目は、白い毛玉状の物体で、風にのって空中にふわふわと飛んで移動すると言われています。ケセランパセランの起源は古く、江戸時代まで遡ります。主に東北地方の伝説として親しまれていて、「キツネのしっぽの先が落ちたもの」とも、「雷と共に天から降ったもの」ともされていました。また、その家の娘が嫁ぐ際に母親から子へ代々受け継がれたものだとも言われていました。
古くから伝説の生物として有名なケセランパセランですが、1970年代に一時はブームになりました。どうやらケセランパセランを手に入れたものは幸運を授かるということが、メディアを通して紹介されたようです。当時は、「花の冠毛か、動物の毛玉だ」ということで、正体不明のまま、話が落ち着きました。しかし最近だと、2008年の5月18日、山形県大石田の山の中で子どもが発見したことで話題になっています。山形県県立博物館の担当者に鑑定してもらったところ、ケセランパセランで間違いないという話です。現在、この博物館ではケセランパセランのレプリカが展示されていて、次のような説明文が書かれているようです。
二月から三月にかけて、神社や深山の木のたもとに天から舞い降りてくる。拾った人は一生幸運に恵まれると言い伝えられている。桐箱に食べ物の白粉を入れ、一年に一度しか見てはいけない。二度見ると、幸せが逃げてしまう
山形県立博物館
もし、ケセランパセランを捕獲した場合は桐の箱に入れて、空気穴を作り、ケセランパセランに白粉をあげてください。上手に育てると分裂するようなので、大切にしてあげましょう。但し、年に一度しか箱を開けて見てはいけないので注意してくださいね。
山形県の怖い風習って何?お寺や神社にいる伝説の生物!まとめ
山形県の怖い風習って何?ということで、「ムサカリ絵馬」や「姥捨て」、「即身仏」を調査していきました。どれも怖いですが、どこか悲しく、優しい不思議なお話でしたね。お寺や神社にの池にいる「人面魚」や、博物館に保管されているとされる「ケセランパセラン」の話は、興味深かったです。山形県を訪れた方は、是非とも感想を教えて欲しいです。また、新しい情報が入った際は、更新していきたいと思います。お見逃しなく!
それでは最後までご覧くださりありがとうございました。
にゃあ~
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